近年、野球の指標として有名になったOPS。
具体的な定義を知っている方は増えてきてはいますが、「WBCから野球を観戦するようになった」という方にとってはイマイチわかりにくい指標だと考えます。
そこでこの記事では、
- OPSの具体的な定義について知りたい!
- OPSの計算方法ってどうなっているの?
- OPSの重要性って何?
といった疑問や悩みを抱えている方へ向けて、OPSを詳しく解説します。
OPSについて理解を深め、野球をもっと楽しみたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
野球のOPSとは何か?
ここでは野球のOPSの理解を深めるために、
- OPSの基本的な定義と意味
- OPSの起源と歴史的背景
- OPSの重要性と役割
について解説しましょう。
OPSの基本的な定義と意味
OPS(On-base plus slugging)は、野球において打者の総合的な打撃能力を評価するための指標です。
OPSは、出塁率(OBP)と長打率(SLG)を足し合わせたもので、数値が高いほど打者がチームに貢献していると評価されます。
OPSはセイバーメトリクス(野球の統計学)でよく用いられ、得点との相関関係が非常に強いとされています。
OPSの起源と歴史的背景
OPSは1984年にセイバーメトリクスの先駆者であるビル・ジェームズ、ディック・クレイマー、ピート・パーマーによって提唱されました。
当時、多くの野球評論家やファンは打率を重視していましたが、この三人は打率だけでは打者の真の価値が反映されないと考えました。
特に、四死球や長打が評価されていない点に疑問を持ち、OPSを提案しました。
OPSの重要性と役割
OPSは打者の総合的な貢献度を評価するための非常に有用な指標です。
例えば、2008~2017年のNPB(日本プロ野球)では、OPSとチームの平均得点との相関係数が0.92と非常に高いことが報告されています。
つまり、OPSがチームの得点能力の9割以上を説明できるということを意味します。そのため、多くのチームがOPSを重視して打線を組むようになっています。
OPSの計算方法
OPSの計算方法として、ここでは
- 出塁率(OBP)の計算方法
- 長打率(SLG)の計算方法
- OPSの計算方法
- OPS+とは?
の4つを解説しましょう。
出塁率(OBP)の計算方法
出塁率(On-Base Percentage, OBP)は、打者がどれだけ効率的に出塁するかを評価する指標です。計算式は以下の通りです。
出塁率 = (安打数+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)
計算式が分かりにくいと感じる人はざっくりと「打者がアウトにならない確率」と覚えてほとんど問題ないです。
出塁率が高いほど、打者は出塁しやすいと評価されます。
長打率(SLG)の計算方法
長打率(Slugging Percentage, SLG)は、打者がどれだけ長打を打てるかを示す指標です。計算式は以下の通りです。
長打率 = 塁打数÷打数
単打は一塁打は1、二塁打は2、三塁打は3、本塁打は4として計算します。
ちょっと複雑に思えますよね。
実際に計算してみましょう。
大谷翔平が4打数2安打だったとして、内訳が二塁打と本塁打だったとします。
そうすると、二塁打は2、本塁打は4なので、
長打率=(2+4)÷ 4 = 1.500
つまり、長打率15割という数字になります。
長打率が高いほど、打者は長打力があると評価されます。
OPSの計算方法
OPS(On-base Plus Slugging)は、出塁率(OBP)と長打率(SLG)を足し合わせたものです。
つまり、
OPS=OBP(出塁率)+SLG(長打率)
で算出されます。
OPSは打席あたりの総合的な打撃貢献度を表す指標であり、数値が高いほど、打席あたりでチームの得点増に貢献する打撃をしていると評価されます。
OPS+とは何か?
OPS+は、リーグ平均を100として、その上下で打者のOPSを評価する指標です。
OPS+が100より高い場合、打者はリーグ平均よりも優れた得点力を持っていると評価されます。
OPS+が100の打者は平均的であり、OPS+が180の打者は平均より80%高い得点力を持つという意味になります。
OPSの選手評価への影響
OPSの選手評価への影響として、
- OPSが打者の評価に与える影響
- OPSが投手としての評価に与える影響
- OPSの役割と野球戦略への応用
の3つを解説しましょう。
OPSが打者の評価に与える影響
OPS(On-base plus slugging)は、出塁率と長打率を合計した数値で、打者の総合的な打撃貢献度を評価する指標です。
OPSが高いほど、打者はチームの得点に大きく貢献していると見なされます。
日本プロ野球でも、2006年にヤクルトの監督に就任した古田敦也は、OPSを重視する方針を明言。
また、2009年には広島東洋カープの監督、マーティ・ブラウンもOPSを重視した打線を組むと公言しました。
結果として、近年は打者の評価においてOPSは非常に重要な指標となっています。
OPSの評価基準は一般的に以下の表のようになります。
評価 | OPSの範囲 |
素晴らしい | .9000以上 |
非常に良い | .8334 – .8999 |
良い | .7667 – .8333 |
並 | .7000 – .7666 |
平均以下 | .6334 – .6999 |
悪い | .5667 – .6333 |
非常に悪い | .5666以下 |
近年では通算OPS.900を超えるマイクトラウトが現れ、MVPを3度も受賞。
OPSが高いことがマイクトラウトの評価を上げる要因のひとつと言えるでしょう。
OPSが投手としての評価に与える影響
OPSは主に打者の評価に用いられる指標であり、直接的には投手の評価には影響を与えません。
しかし、投手が対戦する打者のOPSが高い場合、その投手がどれだけその打者を抑えられるかが評価される場合もあります。
つまり、投手が高OPS打者を抑える能力があれば、その投手自体の評価も高まる可能性があります。
OPSの役割と野球戦略への応用
OPSは、打者だけでなく、チーム全体の戦略にも影響を与えます。
具体的には、OPSが高い打者を中心に打線を組む、あるいは特定の局面でOPSが高い打者を起用するなどの戦略が考えられます。
また、OPSは得点との相関関係が非常に強いため、OPSを高めることがチーム全体の得点力向上に直結します。
OPSは単なる打者の評価指標以上に、野球戦略全体に多大な影響を与える重要な要素となっていると言えるでしょう。
OPSの解釈と優れた選手の特徴
OPSの解釈と優れた選手の特徴として、ここでは
- 高OPSを持つ選手の特徴
- OPSが低い場合の選手の評価
の2つを解説しましょう。
高OPSを持つ選手の特徴
高OPSを持つ選手は、一般的には出塁能力とパワーの両方を兼ね備えています。
つまり、四球や安打で出塁する能力(出塁率)と、二塁打、三塁打、ホームランなどで得点を生む能力(長打率)が高い選手であると言えるでしょう。。
高OPSを持つ選手は、チームにとって非常に価値のある存在とされ、多くの場合、打線の中心となります。
また、高OPSを持つ選手は、相手チームからも警戒され、敬遠や厳しいマークがされることが多い傾向にあります。
例えば、バリーボンズは2004年にMLB歴代最高のOPS1.422を記録しました。
有名な話で、バリーボンズは厳しくマークされ、満塁でも敬遠されたこともあるほどです。
いかにOPSが重要な指標であるかわかります。
OPSが低い場合の選手の評価
OPSが低い選手は、出塁能力やパワーが不足している可能性が高い傾向にあります。
しかし、打撃だけでなく、守備や走塁、チームプレーなど他の要素で優れている場合もあります。
OPSが低い選手は、特定の局面での「クラッチヒット」や「犠牲フライ」など、チームに貢献する他の方法を見つけることが多いです。
また、低OPSの選手が下位打線に配置されることで、上位打線の選手がより多くの打席に立つチャンスを作るという戦略もあります。
例えば、イチローのMLBでの最高OPSは.869で決してMLBトップクラスのOPSではありません。
しかし、チャンスメイクに強い選手であることから、1番バッターに起用され、MLB通算3089安打を記録しました。
OPSを理解して野球を楽しもう【まとめ】
OPS(出塁率+長打率)は選手の打撃能力を総合的に評価するための重要な指標となっています。この記事では、OPSの基本的な定義から計算方法、そして選手評価に与える影響まで、幅広く解説しました。
OPSの基本的な定義と意味では、OPSがどのように打者の総合的な打撃能力を評価するかを説明しました。
OPSの計算方法と要素では、出塁率(OBP)と長打率(SLG)の計算方法を詳しく解説し、OPS+という派生指標についても触れました。
OPSの選手評価への影響では、OPSが打者だけでなく、投手やチーム戦略にもどのように影響を与えるかを考察。OPSの解釈と優れた選手の特徴では、高OPSと低OPSを持つ選手がどのような特性を持つのか、その評価のポイントについて説明しました。
OPSは単なる数字以上のものであり、その背後には選手のスキル、チームの戦略、そして試合の流れが反映されています。OPSを理解することで、野球の試合がさらに深く、そして面白く感じられるでしょう。
この記事を読んだ方は、OPSという指標を使って、野球の楽しみを一層深めてください。数字と戦略が織りなす、野球の魅力を存分に感じ取ってみてください。
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